日本自立支援介護・パワーリハ学会会長 竹内孝仁
リハプライドが導入しているリハビリプログラムは、ドイツ生まれのリハビリ専用マシンを使って、正しいポジションを取って軽い負荷で回数行うというパワーリハビリテーションです。パワーとは仕事率のことであって決して筋力を増強するものではありません。
病院のリハビリが終わって在宅に戻られた皆さんが直面する現実として、失っていた機能が回復したからこれからは自立した生活を継続したいということで、(散歩やストレッチ)(自分のことは自分で)(他の人との交流の場をもつ)など努力されてきたにもかかわらず足腰は衰え何年(何か月)かすると家の周辺がやっとという状態になり気力も衰えて、家に閉じこもりがちになり、ご本人もご家族もこのままでは寝たきりになるのでは、と怯えていらっしゃる方もあるかもしれません。
なぜ病院のリハビリが終わった後そのようなことが起こり始めるかというと答えは『老化』です。個別の機能回復を獲得しても老化によって体全体の活動性が衰えてきて病気とは別の原因で活動力の低下を引き起こしてしまいます。
そういう方にお勧めなのが、私が開発したドイツ生まれのリハビリ専用マシン6台フルセットを使用して無理なく正しく体を繰り返し動かすことで、日常動作で重要な【座る】【立つ】【歩く】という動作を常に行いやすい状態にコンディショニングするパワーリハビリテーションです。レッツ倶楽部に導入されている6台のマシンがそれです。
以下に有効な疾病を列挙してみましょう。
○脳血管疾患(脳卒中、脳梗塞など)⇒麻痺肢の拘縮緩和や脱力改善
○心疾患(心筋梗塞など)⇒運動強度が軽い
○関節疾患⇒関節を支える筋肉の再活動化
○パーキンソン病、パーキンソン症候群⇒ドーパミンの体内分泌
○うつ⇒セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミン(抗うつ剤)の体内分泌
○認知症⇒アセチルコリンの不活動筋が収縮する際の体内大量分泌
○脊髄小脳変性症、尿失禁、便秘、糖尿病、等
とくに高齢になられると運動することがとても難しい状況になりますが、パワーリハビリは全てマシンに座って軽い重りで行えるので車いすの方でも後期高齢者の小柄な女性の方でも簡単に行えて運動強度も軽いので疲れを残すことがありません。
いくつになっても続けられるリハビリこそ本物といえるのではないでしょうか。
また最近認知症の方々がとても増えてきていますが、ハーバード大学やハワイ大学では認知症は薬で改善しないという論文を発表しているくらいですが、唯一運動によって認知症は改善すると言っています。
私はジャーナリストの田原総一郎さんと共著で「認知症は水で治る」(ポプラ社)という本を出していますが、田原さんも自分は認知症なのではないか、と心配していた時に私の講演を聞いて大変な衝撃を受けられて「対談して一緒に本を出しましょう」とお誘いを受けました。現在、日本人全員が認知症ノイローゼにかかっているかようです。
実は熱中症と認知症は良く似ています。例えば体重50キロの高齢者の水分は50%の25キロつまり25ℓですが、そのうち1%~2%、つまり250CC~500CCのペットボトル1本分足らずで意識障害を引き起こします。2%~3%で発熱、5%で運動機能低下、7%で幻覚の出現、10%で死亡(竹内孝仁 全国老施協・自立支援介護ブックレット「水」より)。つまり熱中症で亡くなるのは10%の水分欠乏が原因です。
熱中症はたった1%から意識障害を起こしてしまうため助けを呼べない状態になってしまいます。発見されなければ死亡率が非常に高いとても恐ろしい病気です。
認知症では、昼間ボーッとしていて、夜になると騒いだり暴れたりするケースがよくありますが、原因は日中のとる水の量が少ないことからきています。
水分のバランスが次第に崩れて行って夕方から夜にかけてもっとも水分が欠乏して脱水状態になって意識がおかしくなって異常行動として現れます。しかし十分に水を飲ませるとそのようなことはなくなります。
私はリハプライドに対して、通所されている時間帯の利用者に500CC以上の水分摂取を実施して認知症の改善や予防に取り組むように指導しています。
もちろん1日当たり1500CC以上の水分摂取が大切です。
皆さんもリハプライドに通って、機能回復のリハビリと認知症の改善・予防に取り組んでください。
また多くの方のケアプランを作成しているケアマネージャーの皆さんにも老化に対するリハビリと認知症ケアをぜひ学んで欲しいと願っています。